アニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』 アバン役・櫻井孝宏さんとキルバーン役・吉野裕行さん対談掲載のVジャンプ9月特大号は本日発売!!

本日発売のVジャンプ9月特大号では櫻井孝宏さん×吉野裕行さん対談を掲載中です! 今回は本誌の一部を特別にお届けします!

――まずは奇跡の復活をとげた、アバンについて伺えますでしょうか。

櫻井 特にお子さんのいらっしゃる役者さんから、大きなリアクションをいただけましたね。アバンが好きでアバンストラッシュもよく真似しているそうで、すごく喜んでくれたみたいです。インパクトのある復活でしたし、驚きもあったんでしょうね。アバンの復活はアニメで描かれるのは初めてですし、自分も演者という立場を置いておいたとしてもワクワクしていました。回想シーンでたびたび収録には参加していたんですが、いよいよ復活というタイミングでキャストと顔を合わせたときには、プレッシャーとまではいきませんが緊張感がありましたね。

――1年以上ダイたちをやっている出演陣の中に戻ってきた形になりましたね。

櫻井 ダイパーティの空気感はわかっていたので戸惑いはありませんでしたが、やっぱりみなさんたくましくなっていて。そこには作品の存在感というか、輪郭のようなものが出来あがっているわけですね。すごく戻りやすくてありがたかった反面で、ああやっぱりこの中でずっと一緒に旅してきたかったなという思いもありました。それでもアバンは重要な役なので、変に気後れすることなく、思い切って役を楽しもうなんて考えながら飛びこんでいきました。内心はちょっとドキドキしていましたが(笑)。

――ありがとうございます。それでは吉野さんに伺います。キルバーンはアバンに負けず劣らず、複雑なキャラクターかと思いますが。

吉野 そうですね、僕自身も完全にキルバーンというキャラクターをつかんでいるとは言えないかもしれません。あえて明確であるよりかは、裏もあって何者かつかませない、そういった点に注意して演じられればいいかなと思っていました。役柄上ダイたちとは絡みかたも、手の届かないところから何か悪さをしている感じで、つかみどころのない、ずるいくらいがちょうどいいのではと思っています。

――VJ2021年9月特大号のインタビューでは、ブロキーナ師匠に会いたいとおっしゃっていました。

吉野 ブロキーナは個人的にすごく好きなんです。今は分散収録になっていてなかなかご一緒する機会がなくて。残念ながら会うのは、バーン様はじめ、魔王陣営のいつものメンバーばかりなんですよね(笑)。

――『ダイ』出演陣のみなさんの演技に対し、感じられたことはありますでしょうか。

櫻井 演技というのはやっぱり魂でありマインドのものなので、技術的な観点で説明するのはあまりよくないとは思うのですが、それでも声優の技術って職人技のような面が強いと思います。本番前に行うテストって、そういった面が垣間見えてくるんですね。それを見られるのは我々含む制作陣だけなんですが、なかなか楽しいんですよね。テストで演技される吉野さんは、毎回見ていてすごいなって感じていました。初めはキルバーンの声って原作の時点ではなかなかイメージできていなかったんですが、キャストが吉野さんと聞いたときに、ああこれなんだ! と納得しました。不気味というか、感情を読めないというか、ずっと怖い感じがしていて素晴らしいですよね。

吉野 声に表情が出過ぎないように気を付けながらやっていますね。決して棒読みというわけではないんだけど、気持ち悪さをしっかり入れつつ、キルバーンというキャラクターから出る音…というのをチューニングするというか。突き詰めていくと、どれも正解であって不正解でもある。だからあやふやさというか、つかみどころのないようにしたいし、魔族だから人ではない何かという部分も入れておきたいし…といったような、いろいろな要素を自分なりにくみ取って、僕のアプローチとしてはこうです、というふうにやらせていただいています。

――アバンとの決闘の際には、仮面も変わって登場しましたね。

吉野 普通に考えたら、仮面が変わっただけならば声は一緒なのかなと思いますよね。でもああいった以前と一変した表情の仮面となると、元のままのお芝居では成立しないイメージになりました。状況もどんどん追いこまれていったり、少しずつボロも出始めて、まるで人間のような不完全さも垣間見えつつも、さらにその先には得体の知れないものが潜んでいる。アプローチのしかたもいろいろありそうな、一枚も二枚も上手なキャラクターだと感じてはいます。演じていて非常に面白い役ではあるんですが、僕の技量の部分がまだまだ足りていないなと痛感させられます。

櫻井 いやいや、そんなことまったくないですよ!

吉野 いやもう恥ずかしいくらいで。子どものころにマンガで読んでいたときも、こいつは不気味でつかみどころがないし不思議なキャラだなと思っていたので、自分のキルバーンでもそのように受け止めてもらえたらいいですね。

――第81話から、アバン対キルバーン、2人の直接対決となる決闘が始まりました。

櫻井 アバンとキルバーンのバトルは、お互いに手品みたいなことをやっていて、先の展開が読めなさすぎるのが面白いよね。

吉野 「タチが悪い」というとなんだけど、ずっとあと出しのジャンケンをしているかのような、超技巧派なバトルになっていますよね。

櫻井 かけ引きや化かし合いというか、思いもよらない展開に驚かされます。頭脳でもって窮地を覆していくような、『ダイ』においては珍しい戦いですよね。ヒュンケルも言っていましたが、単純な力や魔力でいくともうダイたちのほうが上回っていて、だからこそ、達人による「負けない戦いかた」を示していく戦いなのかなと思います。

吉野 このまま経験を積んでしまうとあとあとやっかいになりそうなポップを始末しようとしたけど、まんまと抜け出されてしまったり、結局は常に上をいかれてしまっているような感覚があります。こちらの思惑も見抜かれたし、どんどん余裕がなくなって、内心おだやかじゃなくなっていますよね。あと、ジャッジ役が寺島拓篤くんで、びっくりしましたね。『ダイ』は大先輩も若手の方もいろんな役者さんがいて、本当に豪華な座組みだと思います。

――収録時のエピソードはありますでしょうか。

吉野 僕も普段あまりやらないような役をやらせていただいて嬉しい限りなんですが、一緒の収録はできていないけど、クロコダイン役の前野智昭くんなんて、僕以上に普段とは違う声色で入ってきていますよね。みなさん限界を超えて新しいものを生みだしていて、進化しているということを感じられる現場に、改めてすごいなって感じました。櫻井くんはクールな役からちょっとくだけた役までさまざまな役をやっているし、櫻井アバンはいろんなものが集約されたキャラクターになっていると思います。ひょうきんぶったり頼りなかったりするところもあるけど、いざというときにはバシッと決めてくれる。それでいて前に出過ぎないといったようなさまざまなものをコントロールする中で、僕の考えでは至らないものを表現します。お調子者っぽい振る舞いから急にスイッチが入って、声色からもギアが一気に上がり空気が変わるのを明確に理解させてくれる。一緒に収録をしているときに多くの刺激と気づきがありました。だからこちらもキルバーンとして、投げられたものをしっかり打ち返していかなきゃなって。これまでは小手先の罠であるとか、直接手を下さない距離感のある接触のしかただったから、ここにきて初めての直接対決は嬉しかったですし、掛け合いがすごく気持ちよかったです。

櫻井 デビューぐらいから、付き合いも長いですしね。学年は吉野さんが上ですが。

吉野 彼の活躍をずっと見てきていて、多彩な役を自分のスタイルでやれている櫻井くんは、僕にとってひとつの憧れなんですよ。同じ時代を生きて一緒にお芝居できるのは嬉しいし、置いていかれないようにがんばらなきゃいけないなという思いでやっています。

――櫻井さんから見た、アバンというキャラクターの人物像はどう感じられましたでしょうか。

櫻井 子どものときに原作を読んでいたころは、強いんだったら出し惜しみとかせず、バンバンやっちゃえばいいのにと思いつつも、それが大人なのかなと妙に納得していました。いじわるな見かたをすると、アバンのやりかたって正攻法ではなかったりするんですよね。トリックじみていて変化球というか、考えかたによってはずるいじゃん、と思うこともありますね。それも大人の価値観なのだとは思いますが。自分も声優としてやっていく中で、いろいろな手段や方法をやってきたわけで、今までの自分の経験値を役に投影できるかなと思って演じてきました。吉野さんとの収録は、ちょっと懐かしいアニメのような、こってりとしたセリフの応酬が楽しかったですね。キルバーンの存在が、お互いのキャラクターをより印象的にしているのかなと思います。

――それでは最後に、読者のみなさまにメッセージをいただけますでしょうか。

櫻井 『ダイ』は30年以上前に連載開始された作品ですし、現代のノリとは違うところもあると思います。ですが学べる部分も多く、やはり良い作品はいつまでも年齢や男女を問わず楽しめるのだなと感じます。

吉野 『ダイ』もそうだけど、やっぱり『ドラゴンクエスト』というブランドはすごいなって思います。偉大な作品に関われたことは光栄ですし、初めてアニメで描かれる物語を楽しんでいただければと思います。

櫻井 本編はアバンの安否が気になるところですが…。まあそこはアバンですし、もしかしたら何か奥の手もあるかもしれません。しぶとい男ですから、決闘の行方をみなさんの目で確かめていただければと思います。

吉野 もう、そこは観てもらうしかないね。

――本日はありがとうございました!

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