アニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』 バラン役・速水奨インタビュー! バラン編が完結を迎えたからこそ話せるエピソードを大公開!
発売中のVジャンプ6月特大号に掲載した、バラン役・速水奨さんインタビューでは掲載できなかった未公開インタビューをついに公開いたします! バラン編が完結を迎えたから公開できるお話も!
ダイの父・バランという
重要な役を演じて
――ダイの父・竜騎将バランを演じてみて、ご感想はいかがですか。
速水 第1話冒頭(第1話「小さな勇者、ダイ」主題歌の前に流れた過去のシーンのこと)から、極限状態に追い詰められてそこからの爆発というシーンがありました。その収録から、どうしてそうなったのかっていうのが気になっていたんです。愛する人を失って叫ぶシーンだったんですが、叫ぶという演技も、たかぶりがあって叫ぶのか、それともいらだちで叫ぶのか、いろいろあるんですが、そのシーンは怒りとかそういうものを超えた中に、すべてを無にしてしまいたいという、実は攻撃的ではない“終わらせたい”という叫びでした。そこからバランの演技が始まって、そこに至るまで何があったんだろうとずっと僕も思いながら。今回に関しては原作を先に読まずに臨んだので。
——あの演技は、知らずに演じられていたんですね!
速水 そうなんです。いちおうダイの父親だというのは教えてもらっていました。ちょこちょこ、いろいろな物語や設定を前野くん(クロコダイン役の前野智昭)と梶くん(ヒュンケル役の梶裕貴)が教えてくれたりはしましたけどね。劇中での謎解きはずっと後になってようやくやってきて、ダイとの親子喧嘩をして、やっとバランのことがいろいろとわかりました。自分にもものすごく厳しく、人にも厳しいんですが、本当は愛情がとっても深い人なんだと今は思っています。
【Vジャンプ未公開】
速水さんが印象に残るシーンは
ダイとバラン親子のシーン!?
――演じられたバランのシーンの中で、印象に残っているシーンなどがあれば教えてください。
速水 やっぱり妻との出会い、そして義理の父の裏切りというシーンですね
――第28話「ダイの秘密」で、ラーハルトから語られた過去のシーンですね。
速水 ああなってしまったのは、致し方ないことだったのかなと思います。誰が悪いというのではなく、臣下たちの王への進言がちょっと悪っぽく描かれていますが、普通の人間だったら、自分の国を守るためにそうするかもしれない。だけどそれによって親と子、夫と妻が引き裂かれて、この悲劇が生まれたときからバランの現在までの存在っていうのが確定されたシーンなののではないでしょうか。そんな意味では、ダイとバラン親子の人間ドラマとしての一番の根源であり、一番象徴的なシーンかなと思います。
――それがあったからこそ、ダイの物語も始まったわけですから、大事なシーンですよね。
速水 『ダイの大冒険』としても、大事なシーンですね。そのアフレコで、家族が全員揃ったんですよ。ダイとバラン、ソアラと王様、声優4人で家族ショットを撮影したのもいい思い出です。
――現在、ダイとバランとの戦いの決着まで、収録されたということですよね。
速水 はい。ダイと竜魔人バランが壮絶な戦いをしました。バランが竜魔人になったときに、人間の心はなくなるから今のうちだぞって、何度か言ってるんですよね。ここでバランの優しさを、すごく感じました。完全にただ戦うだけの存在になっているはずなのに、でもまだ決定的な致命傷を相手に与えないという。今まで僕はいろいろな作品で戦っていますが、何話にも渡ってずっと戦っているってそんなにないんですよね。
――大体1話で終わって次の戦いにいきますからね。
速水 ですが、この何話にもわたる戦いの中で、ダイが確実にものすごく成長しているんですよね。記憶を取り戻したあとからの戦いの中で、ものすごくダイの成長が見られて、多分バランは父親として、どこか楽しかったりしたのではないのかと思います。父が子と交流するって、まずはキャッチボールを始めたり、かけっこをしたりして…やがて子どもに抜かれるっていう。それと同じ感じがしています。もうダイに抜かれるというのが見えてきていて…2人の世界を賭けたすごく壮大な戦いの中に、僕は父と子の根源的なつながりが見えて、いい話だなって思いました。
【Vジャンプ未公開】
速水さんが好きなバランのセリフ!
――では、印象に残っているセリフはございますか?
速水 大事にしたい言葉っていうか、このセリフはすごいっていうのがバランはいっぱいあるんですよね。ダイとの戦いを終えた後の、「いまさら生き方を変えられん。大人とはそういうものだ」というセリフには、自分の台本に星印がついて「印象的に」って書かれています(笑)。最初テストのときに戦いが終わってるので、優しさを出してやったら、ここすらバランは人間として歩み寄るのではなくて、バランの生き方の頑なさ、主義の中でしゃべってほしいっていう指示がありました。なるほど、バランはそういう人なんですよね。バランだから言えるセリフだと思います。僕は自分の生き方、いっぱい変えてきていますから、そんなことは言えないんですが(笑)。
――なるほど、速水さんとしても、バランという役は結構演じるのが難しかったんでしょうか。
速水 ええ、そうですね。自らの主義主張を曲げない、っていうといわゆる偏屈や頑固っていうことになりますが、そうではなくて、主義主張があって、そのために生きているのがバランなんだと思います。それがどんな状況になっても、一貫しているんですよ。なかなか世の中、そんな人間はいないじゃないですか。普通は周りに流されるし、なにかがあったら逃げるし。でもそれを一切しない生き方をしていて、素晴らしいなと思いましたよね。
――では『ダイの大冒険』という作品に関する感想があればお聞かせください。
速水 『ダイの大冒険』はやっぱり、ドラマとしての普遍的なものがありますよね。『週刊少年ジャンプ』の王道作品といったら王道作品なんですが、売れるために作られただけのドラマ作りじゃない気がするんですよ。このドラマを描きたいから作っている、このドラマを見てほしいから体感してほしいから作っているっていう感じがしています。物語がずっと繋がっていって、弱き者でも勇気を持つようになれる、すごく積極的な物語だなと感じています。
――しっかり美しく、伏線とかもちゃんと回収されていきますからね。
速水 やられた者がやられっぱなしではないんですよね。クロコダインにしたってヒュンケルにしたって、敗北したけれど、そのことでダイと繋がっていく。この部分がすごくいいですよね。
――バランも、ダイとの戦いでいろいろな気づきや変化があったと思います。
速水 気力と体力をすべて使って息子とぶつかり合う…親子喧嘩というより、魂のぶつかりあいっていう感じがしましたね。長いこと会えてなかった「俺が父親だ」、「何だこのクソ親父」っていう、まあ心の交流ですかね。。本当、ダイと戦った数話は、肉体的にもかなり疲れました(笑)。ですが、終わった後の出し切った感がすごく気持ちよかったですね。ダイ役の種﨑(敦美)さんも僕も、すごく心地よく思い切り戦えたと思います!
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